【知っておきたい 信用調査・与信管理のよろず知識】
 第6回:企業が倒産に至るプロセスを理解する

2026年8月12日

 

この連載シリーズコラム【知っておきたい 信用調査・与信管理のよろず知識】では、主に定性分析に役立つ知識を中心に信用調査や与信管理に関する様々な知識やノウハウをご紹介しています。なお、定量分析(財務分析)については、別の連載シリーズ【与信管理における定量分析の基本】で解説しています。

また、本連載シリーズは、トーショーの公式YouTubeにて配信している【シリーズ動画『信用調査・与信管理 よろず話』】ともリンクした内容となっておりますので、あわせてご覧いただきますと、より理解が深まります。是非ご視聴ください。

>>#08:企業が倒産に至るプロセスを理解する(2026年1月配信)

 

<目次>

■焦付きの怖さ
■企業が倒産に至る前には必ずプロセスがある
■倒産プロセスの具体的な流れ

 

与信管理において、取引先の倒産による焦付きは最も避けたいリスクです。本記事では、企業倒産の典型的なパターンやプロセスについて解説いたします。

 

■焦付きの怖さ

以前のコラム(第2回:焦付き、貸し倒れとは? 恐ろしい焦付きのリスク)でお伝えしましたが、取引先の倒産などによって掛け売りの代金が回収不能となることを「焦付き」と呼びます。

焦付きが企業にもたらす影響は非常に大きく、まず業績に甚大なダメージを与えます。例えば利益率2%の商売で100万円の回収不能が発生した場合、その損失を補填するには100万円の売上ではなく、100万円の利益が必要です。利益率2%であれば、利益100万円を捻出するには5,000万円の売上が必要になります。

売上高100万円利益2%が回収不能になったら100万円の損失が発生

また、想定外の大口の焦付きが発生すると資金繰りが悪化し、最悪の場合には自社も連鎖倒産してしまう可能性があります。さらに、不良債権の発生による対外信用力の低下や、回収対応に追われることで本来確保すべき生産的な時間や人員が奪われるなど、多くの副次的悪影響が生じます。

このようなリスクを回避するためには、取引先の危ない兆候を早期に発見することが何よりも重要です。

 

■企業が倒産に至る前には必ずプロセスがある

企業は人と同じで、いきなり「突然死」することはありません。事故のような突発的事象を除けば、倒産に至る前には必ず何らかの変化や兆候が存在します。

たとえ外から見て「急に倒産した」と感じられたとしても、実際にはその前段階から業績の悪化や財務の悪化など、何らかの問題が進行していたはずです。

企業の倒産は様々なケースがありますが、典型的には以下の3つのステップを経て進行します。

⑴業績の悪化 ⇒ ⑵財務の悪化 ⇒ ⑶資金繰りの悪化

この流れを踏んで最終的に倒産へと至るケースが一般的です。

 

■倒産プロセスの具体的な流れ

例えば、確固たるビジネスモデルで創業以来順調に成長していた企業であっても、環境の変化により苦境に立たされることがあります。

倒産プロセスのイメージ図

⑴ 業績の悪化

競合の増加や市場環境の変化などにより売上が減少し、業績が悪化していきます。業績が悪化すると、無理な売上確保のためにリスクの高い取引に手を出し、焦付きが発生するなど、負のスパイラルに陥ることもあります。

企業は当然、この状況を改善しようと、新規事業の立ち上げや不採算事業からの撤退など、業績面(P/L)の改善に取り組みます。いわゆる選択と集中です。

しかし、それでも改善が進まない場合、次の段階へ進みます。

 

⑵ 財務の悪化

業績の赤字が続くと、今度はバランスシートに問題が表れます。不良在庫の増加など資産の不良化、借入金の増加などにより財務内容が悪化し、有利に資金調達を行うことが難しくなっていきます。

この段階でも企業は、保有資産の売却や第三者割当増資など、財務改善の手を打ちます。しかし、これらの対策も功を奏さない場合、取引先や銀行など外部からの信用が低下していきます。

 

⑶ 資金繰りの悪化

信用の低下が深刻化すると、取引銀行から融資を断られたり、取引先から与信を絞られたりします。その結果、資金繰りが悪化し、倒産が現実味を帯びてきます。

資金繰りが切迫した企業は、場合によっては高金利な資金調達や、不正行為、粉飾決算に手を染めることもあります。こうした多くのプロセスを経て、企業は最終的に倒産に至ります。

このように企業が倒産に至るまでには様々な動きがあるはずですから、注意深く取引先をモニタリングしていれば、必ず異変や兆候に気がつくはずです。それら取引先が発するシグナルを見逃さず、信用上の変化を捉えることこそが、与信管理における最大のポイントと言えるでしょう。

 

■YouTubeでも詳しく解説!

本ページの内容は、トーショーの公式YouTubeにて配信している【シリーズ動画『信用調査・与信管理 よろず話』】ともリンクした内容になっています。動画ではより詳しい解説をしていますので、以下のリンクから動画を是非ご視聴ください。

#08:企業が倒産に至るプロセスを理解する(2026年1月配信)のサムネイル>>#08:企業が倒産に至るプロセスを理解する(2026年1月配信)

 

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