与信管理は取引先の情報収集が重要!
情報の収集・管理に役立つツールやシステムのポイントとは?

与信管理において、取引先の情報収集は欠かせません。特に、取引先に何らかの「変化の兆し」があった場合には、そのような信号をいち早くキャッチすることが大切です。しかし、そうした変化の兆しを見逃さないために、どのような情報に注目すればよいかわからないという方も多いのではないでしょうか?

本記事では、取引先の情報収集方法や情報収集に役立つツール・システムについて解説します。収集した情報を管理するためのポイントについてもご紹介しますので、ぜひ与信管理強化の参考にしてみてください。

 

 

【目次】

■与信管理で最も重要なのは取引先に関する情報収集
└ 定量情報とは
└ 定性情報とは

■情報収集や管理に役立つツールやシステム

■収集した定性情報を管理するツールやシステムのポイントは?
└ 取得した信用情報を保存・蓄積できる機能
└ 情報の共有化方法を選択できる機能

■まとめ

 

与信管理で最も重要なのは取引先に関する情報収集

与信管理業務の最大の目的は、「焦付きリスクの回避」です。焦付き(取引先が倒産し、代金が回収不能な状態になること)が発生すると、自社の業績や資金繰りに対して深刻な悪影響が生じる恐れがあるからです。与信取引を行う以上、焦付きのリスクはつきまといます。そのため、できるだけリスクを回避するような策を講じておかなければなりません。

焦付きリスクを回避するために最大限気を付けるべき点は、取引先の異変にいち早く気付くこと。取引の中で信用上の変化を示唆するような“危険信号”が出ている場合もあるため、これを見逃さずに察知し、迅速に適切な一手を打つ必要があります。つまり、焦付きリスクを回避するための一番の近道は、「いち早い情報収集」と言えるのです。

与信管理で活用・分析する取引先の情報は、「定量情報」と「定性情報」の二つに分類することができます。それぞれの違いを見ていきましょう。

 

定量情報とは

損益計算書(P/L)や貸借対照表(B/S)といった決算書に記載されるような経営成績や財務数値が代表例ですが、このような数値化して扱える情報を「定量情報」と言います。数量・金額などの数字を用いているため、財務指標などの分析結果は誰が計算しても同じです。客観性を担保しやすく、関係者間でのコミュニケーションにおいても説得力を持たせやすいという特徴があります。

ただし、決算書を入手できる確率は一般の事業会社では必ずしも高くなく、取得できたとしても入手時点では過去の情報であるため、リアルタイム性が不十分な点は認識しておく必要があります。また、決算書には「粉飾決算」という大きなリスクもつきまといます。

取引先の信用状況をリアルタイムに把握し、与信管理において適時適切な対応をしていくためには、定量情報だけでなく、次でご説明する「定性情報」こそ重視しなければなりません。

 

定性情報とは

取引先に関する事象や評判など、単純に数値では表すことができない情報を「定性情報」と言います。例えば、経営者の性格や人となり、会社の販売力や技術力といった強み・弱み、評判や噂などの事象や外部評価を含め、機械的に数値化するのは難しい多様な情報を指します。

定性情報は、数値の計算結果のように一律の分析結果を導くのは困難です。また、状況理解に解釈を必要とするため、分析には一定の経験や勘も必要となる場合があります。情報を分析する個人の主観が入りやすいことにも留意が必要ですが、実際の事業会社の与信管理において、取引先に関して参考にする情報は定量情報より定性的な情報のほうがはるかに多いのです。そして、定性情報は決算書の情報とは異なり、いつでもどこでも発生するものなので、取引先のリアルタイムの動向を追うために常にアンテナを張って見逃さないようにしなければなりません。

取引先の日々の信用状況の変化や、倒産に直結するような危険信号をキャッチし、少しでも正確な与信判断を下すには、このような定性情報の収集ルート・収集手段を質・量ともに充実させることが欠かせないと言えるでしょう。

 

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情報収集や管理に役立つツールやシステム

 

定量情報にせよ定性情報にせよ、せっかく情報を入手しても、それが適切に保存・蓄積されなければ有効に活用できません。特に定性情報については、「過去があって今がある」ため、過去の情報も含めて取引先ごとに時系列的に整理しておく必要があります。また、「情報は人なり」と言われるように情報入手を特定の人に依存しているケースもありますが、組織的に共有され、与信管理において適宜適切に活用できるようにしておく必要もあるでしょう。

そのためには、情報を取得・管理する外部ツールの導入や、必要な場合には自社で適切なデータベースを構築するなどシステム的に集積・共有できるようにしておかなければなりません。

「望ましい与信管理の情報収集・管理ツール」には、どのような機能が必要なのでしょうか?商社など事業会社の与信管理部門で導入されている情報ツールや管理システムには、以下のような機能が含まれていることが多いようです。

・企業の概要情報や財務情報のデータベース
・企業信用調査レポートの取得機能(※信用調査会社等の外部ツールを導入する場合)
・信用格付の判定機能または参照機能
・信用限度の算出・管理機能

 

データベースにおいては、法人番号のようなユニークコードを利用して「1企業1データ」となるように重複を回避することや、取引先の過去の情報履歴も蓄積・参照できること、各情報を容易に検索・抽出・出力する機能も備えている必要があるでしょう。情報については、定期的またはタイムリーに最新の内容が更新・反映されることが、企業の信用モニタリングには欠かせない条件となります。

外部の情報ツールを検討する場合は、自社に必要な情報や機能を把握しておきましょう。

ちなみに、外販されていて導入可能な多くの情報管理ツールやデータベースシステムでは、財務データなど定量情報は内容的にも機能的にも比較的充実している一方、取引先に関する定性情報の収集・管理の機能については乏しい、あるいはほとんどないものが多いようです。なかには、自社で取引先ごとの定性情報をデータベース化して整理している企業もありますが、多種多様な定性情報を一元的に管理するのは難しいもの。そのため情報が適切に保存・共有されず、取引先の信用情報の入手が特定の人に依存していて属人的に管理されていることも多いのが実状ではないでしょうか。

以下、特に定性情報を管理するツールやシステムのポイントについてご説明します。

 

収集した定性情報を管理するツールやシステムのポイントは?

 

情報収集から始まり、収集した情報を蓄積・保存、検討・評価し、状況に応じて適切なアクションを実施するところまでが与信管理です。情報をただやみくもに集めるだけでは意味がなく、収集した情報をどのように管理するのかまで考えておかなければなりません。せっかく取引先の情報を入手しても、それが活用可能な状態で適切に保存・蓄積されなければ有効に利用できないからです。

情報を適切に活用するために、ツールやシステムの機能について把握しておきましょう。

 

取得した信用情報を保存・蓄積できる機能

それぞれの企業は、過去の歴史があったうえで現在につながっています。そのため、取引先ごとに過去の情報も時系列でわかるように蓄積しておく必要があります。

 

情報の共有化方法を選択できる機能

蓄積した情報は、「必要な時に必要な人が取り出せる状態」にしておきましょう。「誰もが見られる状態」にしておくのが一見よさそうですが、機密性の高い情報の取り扱いを間違えると新たな問題が生じる恐れもあるので注意が必要です。

外部の情報ツールや自社データベースの運用においては、ただそれを導入したり構築するだけでは、適切な運用がされなかったり、使い方を誤ればトラブルが発生することもあります。敏感な情報、機密性の高い情報については、情報の性質を熟知している部門で管理・共有し、必要な時に必要な範囲で、適宜適切に関係者へ伝達されるべきであり、そのようなルール作りも必要でしょう。

 

>>なぜ企業に与信管理は必要なのか?基本的な考え方や調査・分析方法について解説します。

 

まとめ

本記事では、情報収集ツールや収集した情報を管理する仕組みのポイントについて解説しました。

与信管理業務の最重要課題は、取引先に関する情報収集です。情報には「定量情報」と「定性情報」の2種類があり、取引先のリアルタイムな信用状況を把握するには定性情報の把握が欠かせません。ただし、定性情報を自社だけで収集・管理するには膨大な時間やコストがかかります。

トーショーの与信管理ツールを使用すれば、こうした定性情報を効率的に収集・管理できます。

必要な情報が自動的に入ってくるモニタリングできるツールとしては、「リンクスシステム」がおすすめです。情報収集したい企業を管理対象としてご登録いただくことで、その企業の信用情報が配信されます。また、配信された情報は自動でシステムに保存され、蓄積されたデータから過去の配信情報を参照することも可能です。

過去から現在に至る企業信用情報のデータベースを活用したい場合は、「時系列情報」をご利用ください。トーショーの「時系列情報」は、約140万社もの企業信用履歴を確認できる“定性情報データベース”として唯一無二のものです。昭和61年より蓄積された膨大な企業信用情報により、取引先の信用状況の推移を確認することができます。

やみくもに情報を集めるだけは上手に活用できないことがあります。取得した信用情報は、適切に保存・蓄積・共有しなければなりません。トーショーのツールにはこれらの機能があらかじめ備わっているため、取得した情報を適切に活用できます。

与信管理における情報収集や情報の取り扱いについてお困りの方は、ぜひトーショーにご相談ください。

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