【知っておきたい 信用調査・与信管理のよろず知識】
 第3回:企業の倒産とは?

2026年5月12日

 

この連載シリーズコラム【知っておきたい 信用調査・与信管理のよろず知識】では、主に定性分析に役立つ知識を中心に信用調査や与信管理に関する様々な知識やノウハウをご紹介しています。なお、定量分析(財務分析)については、別の連載シリーズ【与信管理における定量分析の基本】で解説しています。

また、本連載シリーズは、トーショーの公式YouTubeにて配信している【シリーズ動画『信用調査・与信管理 よろず話』】ともリンクした内容となっておりますので、あわせてご覧いただきますと、より理解が深まります。是非ご視聴ください。

>>#05:企業の倒産とは?(2025年10月配信)

 

<目次>

■倒産とは?
■倒産と廃業の違いは?
■典型的な倒産状態について
■倒産手続・事業再生手続の形態

 

■倒産とは?

今回は、企業の「倒産」とは何か、どういった状態を指す言葉なのかについて解説をします。また、倒産の形態には、法的整理と私的整理、清算型と再建型など、いくつかの類型がありますので、それぞれの特徴について、基本概要をご説明します。

そもそも「倒産」とは、法律上で定められた言葉ではなく、明確な定義はありませんが、簡単に言えば「資金繰りに行き詰って事業が継続できなくなる状態」のことです。「借金が返せなくなる」とか、「仕入先に代金を払えなくなる」とか、「従業員に給与が払えなくなる」など、お金を約束どおりに支払うことができなくなり、「他人に迷惑をかけ、会社の信用が失墜して、事業継続が困難になった状態」を、一般的には倒産と言っています。

 

■倒産と廃業の違いは?

「廃業」と「倒産」の違いですが、自主廃業では仕入先や外注先への代金を支払い、借金などもきちんと返してから、「他人に迷惑をかけず」に会社を清算していきますので、「他人に迷惑をかける」倒産とは、その点で大きく異なります。

 

■典型的な倒産状態について

具体的にはどのような状態が、他人に迷惑をかけて事業継続が困難になる状態に該当するかですが、典型的な倒産状態には、以下のようなものがあります。

① 6か月以内に手形不渡りを2回出すと銀行取引停止となり、実質的に事業継続が困難になること
② 破産法に基づいて企業を清算することや、民事再生法や会社更生法に基づく法的整理
③ 法的整理によらない私的整理(内整理・任意整理)
④ 夜逃げ(放置消滅型)等

第一に、6か月以内に手形不渡りを2回出すと銀行取引停止となり、実質的に事業継続が困難になることが挙げられます。

このことについては、第1回のコラム「【知っておきたい 信用調査・与信管理のよろず知識】第1回:与信リスクとは? 信用調査や与信管理の必要性」で解説しましたので、詳しくはそちらをご覧いただければと思いますが、政府が紙の手形を廃止する方針で政策を推進しています。

現状、手形の流通量の減少に伴い、銀行取引停止処分を受けて倒産ということは、すでに少なくなってきており、将来的にはほとんど無くなると思われます。ただし、手形と同等の機能を持つ、電子記録債権の「でんさい」についても、6か月以内に2回の支払い不能で取引停止処分という同様の処分がありますので、今後もこの形態に似た倒産状態というのは将来においても発生することになります。

次に、これが現代の倒産の代表的なものになりますが、破産法に基づいて企業を清算することや、民事再生法や会社更生法に基づいて債務を整理していく法的整理の手続きです。つまり、法的整理というのは、法律に基づいて裁判所の監督のもとに債務を整理するものです。

そして最後は、私的整理です。私的整理は、裁判所を介さず当事者の話し合いによって債務の整理を進めるものです。

また、こういった倒産処理をきちんと行わずに、俗にいう「夜逃げ」状態の放置消滅型の倒産というのも現実にはあります(ただし、こういった倒産は、いわゆる倒産統計にはカウントされません)。

 

■倒産手続・事業再生手続の形態

上述のとおり、倒産の形態について整理しますと、倒産処理には、特定の法律に則り裁判所の関与のもとに進める法的整理の手続きと、法的整理によらないで、債権者と債務者の協議によって進める私的整理の手続きに分けることができます。

事業再生手続の形態 イメージ図

法的整理は、裁判所の監督のもと債権者の平等を確保できるメリットがある一方で、時間やコストがかかり柔軟性に欠けるというデメリットもあります。

私的整理は、法的な制約を受けず柔軟な手続が可能ですが、大口債権者の意向に左右されたり、反社会的勢力等の介入を招いたりすることもあり、公平性に問題が生じることもあります。

最近は、法的整理と私的整理のそれぞれの利点を生かし、一定のルールやガイドラインに沿って行われる準則型私的整理というものも多くなっています。この準則型私的整理は、近年とても増えていますので、次回のコラムで詳しく解説します。

また、倒産手続きは、清算型と再建型に分かれます。倒産というと、必ず会社や事業が消滅してしまうようなイメージを持っている人が多いかもしれませんが、再建型の倒産手続では、その企業が存続するケースもあります。

しかし、清算型・再建型、いずれの場合も、既存の債権者は多くのケースで代金の大部分を回収できず焦付きが発生することに変わりはありません。

次回は、破産や特別清算、民事再生法や会社更生法などの法的整理のそれぞれの違い、更に準則型私的整理の手続についても取り上げます。

 

■YouTubeでも詳しく解説!

本ページの内容は、トーショーの公式YouTubeにて配信している【シリーズ動画『信用調査・与信管理 よろず話』】ともリンクした内容になっています。動画ではより詳しい解説をしていますので、以下のリンクから動画を是非ご視聴ください。

【知っておきたい 信用調査・与信管理のよろず知識】#05:企業の倒産とは? サムネイル>>#05:企業の倒産とは?(2025年10月配信)

 

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