2025年10月8日
2027年末までに蛍光ランプの製造及び輸出入を段階的に廃止
昨今、一部で蛍光灯の「2027年問題」が話題です。
この問題は2023年11月の「水銀に関する水俣条約第5回締約国会議」において、一般照明用の蛍光ランプの製造及び輸出入を、2027年末までに段階的に廃止することが決定されたことが契機となっています。電球形蛍光ランプ、コンパクト形蛍光ランプ、直管蛍光ランプなどはその種類に応じて2026年末または2027年末までに製造・輸出入が禁止されます。
水銀は地球環境の汚染や人体への健康被害を引き起こす有害物質であり、2017年に発効した上記水俣条約は、水銀を使用する製品の削減・廃止を目標としています。蛍光灯には微量ながら水銀が含まれており、この対象製品の一つとされているのです。
そのため、今後は順次LED照明への切り替えを進めることとなります。LED照明は高い省エネルギー性能を有し、寿命が長く交換頻度が少ない上、電力消費量が少ないため、長期的なコスト削減効果が期待出来ます。
LED照明への切り替えに関する留意点
もっとも、切り替えにあたってはいくつか留意すべき点がありますので確認しておきたいと思います。
まず、現在使用中の蛍光灯をすぐに交換する必要はなく、使用を継続することができます。また、今後規制されるのは一般照明用の蛍光ランプで、誘導灯や医療用などの特殊な照明用は規制の対象外となっています。さらに、蛍光灯の規制が開始された後でも、販売されている蛍光灯を購入することは可能です。
従って、慌ててLED照明への切り替えを急ぐ必要は無さそうですが、段階的とはいえ蛍光灯の製造や輸出入が規制されることは間違いありません。
蛍光灯の製造・輸出入規制から考えられる影響
それでは、蛍光灯の製造や輸出入が規制されることの影響としてはどのようなことが考えられるでしょうか。
まず、蛍光灯の供給減少に伴い、一時的な混乱の発生や価格高騰の可能性が考えられます。LED照明へ移行する場合もエネルギー効率は高まるものの、初期費用等で一時的にコストが増加します。また、互換性の問題で、使用中の照明器具にLED照明が取り付けられない場合もあり、調達面や費用面、技術的な課題があります。
家庭でも相応の影響がありそうですが、公共施設や工場、オフィスなど多くの照明を使用する現場では更に負担が大きくなります。ある日突然、これまで使っていた蛍光灯が使えなくなるわけではないので危機意識を持ちづらいですが、企業などは費用面や業務への影響を考慮しながらLED照明への切り替えを図らなければなりません。そのため、綿密な計画と入念な準備が必要です。
昨今は大口取引先から大規模な設備の更新などを迫られ、やむなく廃業・倒産を選択する中小・中堅企業が散見されます。今回の蛍光灯の問題も、仮にLED照明への切り替えに関連して、互換性の問題などから大規模な設備更新が必要ということになれば、企業体力との兼ね合いから廃業を選択せざるを得なくなる可能性すら考えられます。
中小企業などにおいては、LED照明への切り替えに伴う初期費用を軽減するために、国や自治体が提供している補助金や助成金制度も準備されています。こうした制度を活用して費用負担を少しでも抑制したいところです。
「LED照明を求めて長蛇の列が出来た」とか、「照明不足で暗いオフィスが増えた」といったニュースは耳にしたくありません。蛍光灯の「2027年問題」が巡り巡って、企業の経営活動に影響を及ぼすという事態を避けるためにも、照明設備の更新はぜひ計画的に。
(ZBLV)
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