海外企業調査に欠かせないマクロ環境分析TOPICS

2021年10月7日

海外企業の信用調査、定性面の深掘りが必要

海外取引に際して、海外調査機関の信用調査レポートを取得されることが多いかと思います。日本の信用調書と比較すると、単なるデータの羅列という感じがして、新規取引先では特にですが、「どの程度の会社なのか‟感触“が得られない」という話はよく聞きます。それでも、可能な限り、掲載されている財務データ、登記情報や訴訟履歴等を入念にチェックして、問題がないか検討されるはずです。

筆者は過去に中国でのビジネス経験が多少あり、中国企業の信用調査についてアドバイスを求められることがよくあります。その際、個別の財務データは当然参考にはしますが、むしろ、それ以外の定性的な要因にフォーカスして、気が付いた点があれば共有させて頂いています。それで、少しでも新規取引先が、どんな会社であるかの‟感触“を得て頂ければと思うからです。

例えば、調査レポートに代表者「劉〇〇」、株主「〇〇集団有限公司100%」と記載があっても、そのままでは読み手にはほぼ参考にならないデータです。そこで、少し調べてみて、「〇〇集団有限公司は、地元政府が資本参加している大規模な国有企業で、代表者の劉氏は親会社の役員である」ということが判明したとすれば、どんな会社であるかだいぶ‟感触”が得られると思うのです。「なるほど、政府系か。それなりの信用背景があるなぁ」といった‟感触“です。

 

調査対象企業を取り巻く与信環境もチェック

しかし、もう少し踏み込んで、その取引先固有の情報だけでなく、その取引先を取り巻く、外部のマクロ環境要因にも目を向けて検討することが、より精度の高い判断に近づけるには欠かせないと思っています。

そもそも、私たちは国内の与信審査では、自社や取引先が属する業界の景況感や与信環境について、日頃の報道や実際に肌で感じるなかで自然と分析ができています。例えば、コロナ禍で実体経済が停滞しているのに、倒産発生数が半世紀ぶりの低水準であるという矛盾も、国の各種資金繰り支援政策によるものであると理解しています。そういったことが頭に入っている前提で、個別の取引先の情報を照らし合わせて、総合的に与信判断をしているわけです。

しかし、これが海外となると、どのような状況であるかはわかりませんので、現地報道等を参考に能動的に把握する必要があります。日本の国内紙でも、主要な国々の政治・経済情勢は十分に取り上げられていますから、一度記事検索サービス等で調べられることをお勧めします。

それで、さきほど「政府系バックグラウンドで安心」と思った会社ついても、「〇〇省内の地方政府系企業の社債デフォルトが相次いでいる」との最近の現地報道があったら、見方はまた変わってくると思います。「え?かの国では、政府資本でも倒産するのか?!」と。

 

PEST分析を与信調査に応用

経営企画やマーケティングのご経験がある方にはお馴染みかと思いますが、政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の4つの切り口で自社の経営に影響を及ぼす外部環境要因を整理する、PEST分析というフレームワークがあります。この分析手法を取引先の与信管理に応用してみてはいかがでしょうか。海外取引先の経営に影響を及ぼすマクロ環境要因が整理でき、与信判断の方向性を見出しやすくなるかと思います。

(QSYH)

 

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