2026年6月10日
インフレ・人手不足・金利上昇に加え、地政学的緊張によるサプライチェーンの混乱もあり、大手調査機関による企業倒産統計は年1万件規模が常態化しつつあります。
弊社トーショーの企業信用情報提供サービスでは、債権譲渡登記に係る情報配信にも力を入れていますが、倒産増加に伴い登記情報の傾向にも変化が見られます。
債権譲渡登記における譲受人の属性を大まかに分類すると、銀行・信用金庫等の金融機関、一般の事業会社、個人、そして事業者金融やファクタリング等のノンバンクがあります。一般の事業会社や個人が譲受人のケースは少なく、大部分は金融機関やノンバンクが占めています。
下表は、債権譲渡登記における債権の譲受人が銀行・信用金庫等の場合と、譲受人がノンバンク(ファクタリング業者を含む)の場合における登記件数の推移です。
| 譲受人 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 |
| 銀行・信用金庫等 | 2,687 | 3,094 | 2,430 | 2,383 |
| ノンバンク | 4,969 | 7,399 | 12,716 | 17,094 |
※トーショー調べ。ノンバンクにはファクタリング業者を含む【単位:件】
銀行・信用金庫等を譲受人とする債権譲渡登記の件数は直近2 年ではむしろ減少している中、ノンバンクを譲受人とする登記は急激に増加し、25 年は3 年前の22年に比べて3倍以上に急増しています。実は、ノンバンクと分類している中でも、独立系のファクタリング業者を譲受人とする債権譲渡登記が非常に多いのが実態です。
これら独立系のファクタリング業者が手掛けるサービスは、売掛金を期日前に換金する「買取ファクタリング」と呼ばれるサービスです。業者側は換金に際して譲渡人から手数料を請求することで利益を得ます。
ファクタリングの手数料は貸金業における金利とは異なり、利息制限法などの規制を受けませんが、多くのファクタリング業者では、売掛金額面に対し10%を超える手数料を徴収するケースが多いようです。
これを仮に年率金利に換算した場合、例えば売掛期間が2 ヵ月で手数料が10%の場合は、年率60%相当となります(算式:10%÷2 ヵ月×12)。単純に比較できない側面もありますが、中小企業が政府系金融機関から借入れる際の利率は1 ~ 2%程度が普通とされるなか、60%とは相当に高い水準であることは間違いありません。
また、通常は譲渡人・譲受人・売掛先の3 者間での取引となるファクタリングですが、売掛先に知られずに実施する「2 者間ファクタリング」という手法では、手数料は更に高くなり、年率換算で200%近くになることもあるようです。
当然ですが銀行等の金融機関から運転資金を調達するほうが、高い手数料を支払うファクタリングよりも、企業にとって有利であるのは間違いありません。急な資金需要があり、当座をしのぐために利用するというケースもあるかもしれませんが、従前の取引金融機関からの資金調達が難しくなっているケースもやはり想定されます。
なお、前出の表で2025 年の17,094 件のうち譲渡人の業種では、建設業や運輸業が圧倒的に多く、10,068件がこれらの業種です(「建設・不動産」:7,753件、「運輸・旅行」:2,315 件)。いずれも人手不足や資材高、燃料費の高騰などの影響で経営環境が厳しくなっている業界です。
取引先の与信調査で、債権譲渡登記設定の有無を確認すること、また設定されていた場合の背景を調査することの重要性は高いと言えるでしょう。
(ケロス)
■ トーショーは企業の“変化”を捉える定性情報をご提供
トーショーでは、与信管理に欠かせない「定性情報」を収集・提供しています。抜群の情報収集力と長年にわたって蓄積されたデータベースから、お客様の与信管理ニーズに応じた配信形式でご提案いたします。
■ 財務分析から定性的な情報まで、トーショーの企業信用調査で情報収集を
企業信用調査もトーショーにお任せください。お客様の指定事項をカバーするオーダーメイド調査により、数多くのお客様から高い評価をいただいています。

