与信審査に先入観は禁物!TOPICS

2022年8月3日

 

「いやいや、あの会社に限ってそんなはずはない。あんた知らないかもしれないけどあの社長さんは個人でも高級住宅街にマンション一棟持っているくらいで、とんでもない資産家で過去にも支払いが遅れたことなんかなくって・・・。」

「いえ、そのマンション、実はすでに売却しておりまして・・・」

「えー!ホントだ!あの社長の自慢のマンションだったのに・・・。あの会社、そんなに大変だったとは・・・」

 

筆者は企業信用調査会社の一員として、日々お客様から取引先に関する情報の照会を受け、情報交換もさせていただいています。上記のやりとりは、そんな日常における1シーンです。似たような話として、「超大手企業の営業権を有していて」とか、「老舗で金融機関や取引先の信頼も厚く」とか、そういった話もよく耳にします。これらの見立ては、そのお客様が取引先のことを長年にわたり直接観察しているからこそ知り得る貴重な情報ですが、ときにそれが固定観念となり、冒頭の例のように取引先の現状や変化を見落とす原因となる場合もあります。

 

心理学の世界では「確証バイアス」と言うそうですが、人間には誰しも自身の仮説や思い込みを損なわないような都合のよい情報ばかり集めたり、自身の持つイメージに沿わない情報を無視してしまうような傾向があります。

与信管理における情報収集については、自らの目で見聞きする直接情報が最重要で、第三者からもたらされる間接情報よりも価値が高いと一般に言われますが、直接情報にはこのような落とし穴もあります。そのため、業界周囲のウワサ・評判、信用調査会社などから伝え聞くような間接情報も、先入観で判断せずにまずは受け止め、上手に活用すべきと言えるでしょう。

さて、ここまで偉そうに「思い込みは、判断を誤る」などと書いてきましたが、このコラムを書くきっかけとなった筆者自身の非常にお恥ずかしい最近の出来事がありまして・・・。
筆者は前職で某メーカーの鶏卵関連の事業部にて勤務していた経験があります。そのため、よく周囲にも卵に関する業界人ならではの雑学を披露したりしており、鶏卵業界の企業については、非常に詳しいと自負しています。

 

そして先日、業界大手の某養鶏業者が危ないのでは?という情報に接しました。前職時代にその企業とは売り買い両方の取引経験もあって熟知していることから、筆者は下記のごとく社内でとうとうと説きました。

「いや、あの会社に限ってそんな馬鹿な!皆さんは知らないかもしれないが現在でも大手量販店ほぼ全店で商品が並んでいるから皆さんも買っているはず。会長は最近でも美術品を多数所有しているということで有名にもなり・・・」

そこで調査担当の人間からつっこみが。

「でもこの会社、手数料の高いと思しきノンバンクが担保つけてますよ」

「えー!ホントだ!あんなに手堅い企業だとおもっていたのに・・・」

皆さんも、経験から来る思い込み、確証バイアスに陥らないようにお気をつけください。

(Mt.C)

 

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