ピンチをチャンスに変える取り込み詐欺師TOPICS

2020年12月1日

コロナ禍における取り込み詐欺

今夏、各業界が新型コロナウイルスで苦戦する中、ある商品取り込み詐欺事件の容疑者が逮捕された。詐欺師の逮捕自体はさほど珍しい事ではないが、驚かされたのは「コロナ対策でテイクアウト事業を始めることにしたので、車両販売用の発電機が要る」という口実だった。

 

コロナ禍によって多くの方々が活動自粛を強いられる中、とりわけ飲食業界と宿泊業界への影響は甚大であり、業務用食材の在庫が滞留するであろう事は予想されていた。こうした状況から、「食品関連が取込詐欺の標的になるはず」と考えた方が多かったのではないかと思う。

 

しかし、蓋を開けてみれば、食品をターゲットとした取り込み詐欺の動きは筆者の印象では予想よりも小さく、むしろ機械工具や住設機器などの非食品系が狙われたケースの方が目立った。食品業界内ではさかんに注意喚起が行われており、多くの食品卸業者は特に警戒を強めていたようだ。販路を失った外食向け食材を加工食品向けにシフトさせたり、一般消費者向けの商流に乗せたりといった工夫も詐欺被害の回避に繋がったのかもしれない。

 

変移するターゲット

過去を遡れば、流行や災害といった節目に応じて取り込み詐欺のターゲットは移り変わっていった。その動きたるや皮肉なことではあるが、 まさに“機を見るに敏”なのである。

 

流行商材が取り込み詐欺の標的になったケースでいえば、省エネ気運の時には「LED照明」が、太陽光発電がもてはやされた時は「太陽光パネル」、昨今のインバウンドブームでは「民泊向けの工事で・・・・・・」という名目でエアコンなどの引き合いが多かったと聞く。新規取引が増えて審査が甘くなる事も計算のうちなのだろう。

 

東日本大震災では建材や住設機器、機械工具など、復旧工事名目の引き合いが多かったようだ。また、原発事故を背景として、被災地に対しては「風評被害を気にせず、食で復興支援したい」と取引を持ちかける一方で、被災地以外には「風評被害で東北地方から調達できなくなったから代替品を探している」などと説明し、多くの事業者が被害に遭った。

 

特に災害のような異常事態の中ではイレギュラーな要求ももっともらしく聞こえ、「欠品してしまったので急いで納品して欲しい」とか「販売先が臨時休業したので代金が回収できていない」等、通常であれば明らかにおかしいと思えるような状況でも冷静な判断がされづらい。情に訴えられて支払いの先延ばしを承諾した結果、ずるずると取引が続いて被害が拡大したといった話もある。

 

新型コロナウイルスを背景とした不審な引き合いは冒頭のケースだけではない。従来のオフィスワークを見直す動きが出始めている事を受けて、「レンタルオフィスやシェアオフィスを始めたい」という名目で事務機器や設備の購入を打診している取り込み詐欺会社もあるようだ。

 

油断することなく留意しておくことが肝要

さて、ここまで読んで「自分の会社は大丈夫」と思ってはいけない。詐欺の被害者に話を聞くと、「まさか、自社が詐欺に遭うなんて」と口を揃えるのだ。「自分は大丈夫」そう思った時点で、既に詐欺師の術中にはまっているのかもしれない。

 

ピンチをチャンスに。多くの企業が知恵を絞ってコロナ禍の困難を乗り切ろうとしている。時代の流れを読み、未開拓の事業に挑戦し、新規顧客の獲得に奔走。まさに、手を尽くして悪戦苦闘されている事と思う。だからこそ気をつけて欲しい。詐欺会社もまたそうなのだ。

 

(ニコうさぎ)

 

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