バーボン党の嘆き節、品不足の現状TOPICS

2022年4月5日

コロナ禍で品不足が発生

コロナ禍で、家飲みのシーンが増えた方も多いかと思います。バーボン党の筆者も、お気に入りの銘柄を買い込んでは、自宅で楽しんでいました。ところが最近、近所の店頭ではそれがとうとう品切れに。輸入元に確認したところ販売休止とのことで、背景には物流停滞の影響などがあるようでした。
上記は筆者の日常生活で直面した状況ですが、長引くコロナ禍において、生産地での人員不足による供給能力の低下、港湾での人員・コンテナ不足による物流の停滞、輸送コストの急騰など、様々な産業に影響が出ています。以下、筆者が実際に聞き取りをした各業界の声です。

 

業界ごとの現場の声は…

①木材・建材業界:
「在宅ニーズの高まりもあり新築需要が増加するなか、プレカット工場もコロナ禍で人手不足に。生産性も低調となり、ウッドショックと呼ばれる木材の品不足が生じ、価格が高騰している。海外の低金利政策で建築ラッシュが起きたことで、日本は買い負けをしている。」
 

②鉄鋼業界:
「コロナ収束後の需要増を見込んで価格が高騰。また、脱炭素に向けて石炭の高炉を止めて、電気炉に移行する動きから、スクラップ市場も需要超過で高騰中。」
 

③半導体・製造装置関連業界:
「もともと5Gシフトが予想されていたなか、テレワーク向けの端末や設備の需要増が起きた。一方でコロナ禍に加え自然災害の影響もあり、生産体制がひっ迫、製造装置も同様に追いつかなくなった。」
 

④自動車業界:
「今の自動車は、インジェクションから、トラクションコントロール、ABSまで、なんでも電子制御だらけ。半導体がなければ作れない。生産休止で、納車が遅れ、1年待ちの車種も。中古車市場も高騰している。」
 

⑤食品業界:
「チェーン居酒屋などの焼き鳥は、もともとタイやブラジルから安価な鶏肉を輸入。コロナ禍の影響で輸入が停滞し、これらも品不足。営業再開しても食材の確保が難しい。某ファストフードのポテトなどは、報道のとおり。」

 

在庫削減至上主義も裏目

これ以外にも、生産拠点を東南アジアに集中する住設機器業界、特に温水便座や給湯器などは、現地労働者不足が原因で欠品の状態が続いると報じられています。
製造業ではタイの洪水災害や東日本大震災などを経ての教訓から、サプライチェーンの分散化など対策が進んでいたはずでしたが、コロナ禍では世界中が影響を受けたため、供給面の深刻な影響を回避することができませんでした。
また、日本の製造業が磨いてきたプル型の生産方式、いわゆる「ジャスト・イン・タイム」が裏目に出て、在庫を持たざる経営の弊害を指摘する声も多く聞かれました。半導体不足については特に顕著で、多くの半導体商社が在庫をより多く持つように働きかけているようです。

 

ウクライナ情勢で供給不安に拍車

サプライチェーンの問題に対しては、国内生産回帰を勧める論調もありますが、採算性の観点からも、最適解と言えるかどうかは難しいところです。ウクライナ情勢を巡り、経済の混乱や資源インフレにもさらに拍車がかかるなか、品不足による機会損失で、多くの企業でコロナ収束を見据えた反転攻勢も描けない状況となれば、制度融資などで抑制されてきた企業倒産が、早々に増加に転じる可能性を否定できません。
コロナ収束と供給網の正常化で、大好きなバーボンが手に入るように・・・、否、同僚や友人と、気兼ねなく外飲みができることを心待ちにしている今日この頃なのです。

(Mt.C)

 

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