信用調査における“やく員”の見方TOPICS

役員の調査は定性分析の重要な工程

今年6月、とある新聞記事が目につきました。ピークを迎える株主総会に向けて上場会社が「スキルマトリックス」の作成準備に追われているとの内容です。スキルマトリックスとは、投資家向けに取締役各人が持つ技能を説明する資料のことです。今後の市場再編を見据えてのことですが、取締役が持つ経験や技能を‟見える化“することで、個々の取締役の役割・責務の実効性を高めることが狙いとされています。

これは上場企業の話ですが、翻って、筆者が普段信用調査の取材先として訪問する先は大半が、株式非公開の中小零細規模の会社になります。零細企業の場合は取締役が「社長1名のみ」というのも珍しくなく、中堅企業では数名の取締役と監査役が設置されているのが一般的です。

取材時においては、各取締役の担当領域(「営業」「生産」など)を質問して必ず確認しています。加えて、それとは別に、その企業を分析する際には、スキルマトリックスではありませんが、各取締役の会社への貢献度などを極力推し量る「工程」も意識して取り組んできました。

 

中小零細企業の‟やく員“の6分類

筆者オリジナルの造語で恐縮ですが、各役員をタイプ毎に仕分けする狙いで、次の6タイプに勝手に分類しています。誰の目にも明らかに顕著な活躍をしている役員を『躍員』と名付けるほか、貢献度こそ限定的だがある種の効能が認められる『薬員』、可もなく不可もない者はそのまま『役員』とし、会社に対しむしろ害悪を与えているような厄介者には『厄員』、私利私欲が強く、足を引っ張るだけの『妬く員』、存在感のない、或いは人数合わせで単に名前だけが登記されているような人物は『約員』としています。

6タイプのやく員

取締役の多様性を求められるごく一握りの上場会社とは異なり、現在でも(今後も)特段「取締役改革」をルールとして進める予定がない、大多数を占めるオーナー中小企業においては、その良否は別として、引き続き情実人事がごく当然のこととして行われていくことになるでしょう。しかし、力のある優れた中小企業の場合、もともと限られた『躍員』を上手く動かすことで各々のマーケットでしぶとく生き抜いています。

一方、一度は成功を収めたものの、『厄員』や『妬く員』が幅を利かせたために消えてしまった企業も後を絶ちません。さらに、現実の社会問題としては、名前ばかりの『約員』がいるのみで確たる後継者の不在という深刻な悩みを抱えている企業が非常に多いです。いわゆる事業承継問題です。

気をつけたいのは、これらの悩みを抱える企業に近づく外部招聘の役員です。中には本来『薬員』として迎えたはずが、不幸にも「薬が毒に変わってしまう」ケースも散見されます。過去の取材先では、旧オーナー社長に気に入られた若手コンサルタントが会社の全権を掌握したのち、自社の生産現場を軽視、某中国企業とのハイリスクな取引に夢中となり、対外信用力の毀損を招く様子も見られました。

 

トップ以外の役員のスキル分析のすすめ

中小企業の与信判断では、社長(トップ)個人の資質を重視することが「定石」として知られますが、トップ以外の役員のスキル、経歴面に関する情報を収集し、前述のタイプ別での仕分け分析により、与信判断の一助とするのも実は有効です。中小企業の信用分析に、上場会社でのスキルマトリックスの例を応用する形で、従来の考え方に工夫改良の余地がないかと思案しているところです。

(虎勝来福)

 

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