トラブルを防ぐ仕入先・委託先管理の要点TOPICS

2025年8月18日

 

2025年5月16日、国会で改正下請法が成立しました。これを受けて、「下請事業者」は「中小受託事業者」、「親事業者」は「委託事業者」に呼称が変わります。
取引先管理というと、販売先の与信管理を最初に思い浮かべる人が多いと思いますが、今回は仕入先や委託先(下請先)に関するリスク管理の重要性について、簡潔にまとめてみたいと思います。

 

安定供給のための仕入先管理

まず、仕入先から約束どおりの品質と納期で納入されない場合、自社が販売先への供給責任を果たせず、場合によっては損害賠償を求められる可能性があります。筆者も、前職の食品関連の仕事において、取引先スーパーで特売のチラシを打ったものの欠品を出してしまい、大問題となった非常に苦い経験があります。
仕入先のQCD(品質・コスト・納期)に関する能力の見極めに失敗し、過大な発注をするとこのような事態に陥ることがあります。そのためリスク管理の一環で、仕入限度(発注限度)を設けている会社もあります。

また、そのような供給能力に問題がなくても、安定供給を前提としている仕入先が資金難で倒産しては困ります。「買う側だから」と仕入先の財務内容や経営状況に無関心でいると、突然の倒産で代替品を確保できず、青天井の損害を被ることも考えられます。

 

仕入先・委託先に関するさまざまなリスク

製造業のサプライチェーンでは、部品を集めて組み立てる所謂「アッセンブリ」の場合、仕入先(Tier1)だけでなく、そのさらに先の仕入先(Tier2)にも目を配りたいです。もちろん、自社への供給はTier1が担いますが、確実な調達に向けてTier2までの動向把握が望ましいです。
「集中購買」による大量仕入・安値仕入という方策もありますが、その仕入先にトラブルがあれば同様の条件での仕入れが困難になります。欠品を防ぐためにも、適度に分散化された仕入ルートを確保すべきでしょう。

また、仕入取引においても、場合によっては「焦げ付く」リスクもあります。仕入先に部品調達を含めてすべてを委ねる「自給取引」でなく、自社で原材料や資材、金型等を支給して製品を買い取る「支給取引」の場合、その仕入先が倒産した際には不良債権が発生することとなります。特に金型を預けている場合のトラブルはよく聞かれます。
建設業界では、かつて大手ゼネコンの倒産が多発したことで、元請の与信管理が必要となった時代がありました。工事業者においても資材の調達先・委託先(下請)、委託先のさらに先の委託先(孫請)の管理は、計画的な施工推進のために不可欠です。

また、委託先の信用審査という側面だけでなく、コンプライアンスチェックという視点も重要です。何度も指名停止を受けている等、コンプライアンス意識が薄い企業との取引が発覚すれば、自社の信用にも傷が付きます。企業の代表者が引き起こした不祥事により、人材派遣会社が派遣を拒否したことでプロジェクトが滞った例もありました。

 

販売先管理だけでなく仕入先・委託先管理も

改正下請法は、一方的な代金決定の禁止や、手形払いの禁止等を規定しています。各社で規制対応の動きが見られますが、これを機に見落としがちな仕入先や委託先のリスク管理を再考してみてはいかがでしょうか。

弊社トーショーの企業登録型情報提供サービス「リンクスシステム」は、仕入先の仕入先(Tier2)や委託先の委託先(孫請)まで、直接取引先だけでなく2次取引先のモニタリングが可能です。こちらから詳しい資料にアクセスできますので、ぜひご覧ください。

(Mt.C)

 

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