2024年2月6日
債権譲渡登記に見る与信環境の変化
政府は、コロナ禍において売上減少に直面した中小事業者を実質無利子・無担保で融資する「ゼロゼロ融資」の制度で支えてきましたが、現在すでに元本据置期間が経過し返済が始まっている企業も多くなっています。物価高等の厳しい経営環境下において、返済に窮するケースもあり企業倒産も増勢傾向で推移しているところです。
アフターコロナの局面において、皮肉にも倒産が増えている状況ですが、今回の小欄では、政府系金融機関がゼロゼロ融資の新規受付を終了した2022 年9月末以前の時期とその1年後の同時期における「債権譲渡登記設定」件数等の変化について、クローズアップしてみたいと思います。
債権譲渡登記は債権の譲渡に際に、登記によって債権者以外の第三者に対抗するための手続きですが、融資に伴う担保設定やファクタリング等の実行に伴いなされることが多く、その動向を分析することは、与信環境の変化を読み解くうえでの参考になり得ます。
譲受人業種別の債権譲渡登記設定の状況変化
以下のデータは弊社トーショー調べによる、債権譲渡登記の譲受人の業種をカテゴライズして集計した債権譲渡登記の件数です。但し、信託・SPC・グループ間などに係る登記は件数より除外しています。
【2022年6月~2022年8月登記分】
【2023年6月~2023年8月登記分】
債権譲渡登記設定の増加は、ノンバンク利用増加を示唆
図表のとおり、2022年と2023年の同時期比較で債権譲渡登記設定の件数は、大幅に増加していることが読み取れます。また、ノンバンクを譲受人とした登記設定が顕著であることも判ります。これは、銀行等の金融機関からの借入が難しく、金利や手数料が比較的高いノンバンクの利用が増加している可能性を示唆しています。
今般、政府が紙の手形の全廃を目指していることもあり、中小零細企業における超短期の資金調達手段として、売掛債権を利用したものが、より浸透していく可能性もあります。引き続き、債権譲渡登記の設定状況とそこから垣間見る与信環境の動向に注視していく必要があります。
2021年8月より、債権譲渡登記データ(月刊)の提供サービス(有償)を開始しております。データは与信管理や営業開拓等にご活用いただけますので、ご興味がございましたら、ぜひ弊社までお問合せください。
(猫日和)
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