

与信限度額オーバーの見過ごし、その原因と対策は?
与信管理の規定が守られなくなる要因は種々ありますが、中でも最も多く見られるのは、与信限度額を超えて取引をすることです。与信限度額のオーバーが頻繁に発生してしまう原因とその解決方法をご説明します。
| 1. | 新しく導入した与信限度額設定のルールが実情と乖離していた。もしくは、ルールが古くなって段々と実情との乖離が大きくなってきた。 |
いざ与信限度額に関するルールを決めたとしても、多くの取引先企業での取引実績が与信限度額を超えてしまうようであれば、やむなく限度額を超えて取引せざるを得なくなります。そして、それが常態化すれば与信限度そのものがないがしろにされるようになります。こうした場合には与信限度額設定のルール自体を見直すことか、あるいは取引の実態を見直すことが必要になります。
ここに、与信限度額設定方法の一例を出します。
自社売上債権総額 × 一定割合 × 格付けによるウエイト
この方法では、まず自社の取引先数や回収サイトなどを考慮し、「1社に対する売掛債権を全体の何%まで許容するか」を設定します。
例えば、自社の売上債権総額を5億円とした場合に、1社に対して許容する一定割合を5%と設定したならば、許容額は5億円×5%=25百万円 ということになります。その許容額に取引先の信用度を反映させるため、格付けに応じた加減を行います。以下の表は、格付けによるウエイト配分の一例です。
| ランク | ウエイト |
|---|---|
| A | 1.7倍 |
| B | 1.3倍 |
| C | 1.0倍 |
| D | 0.7倍 |
| E | 0.5倍 |
仮にこの方法を採用した場合に与信限度額オーバーが頻発してしまう場合、まずウエイトの修正をおこないます。多くの場合はこれで問題が解決するようですが、それでも上手く運用できない場合は、次いで一定割合の修正、格付け基準の修正を行います。
どれだけ理論上正しいと思えるルールでも、守られないことが常態化してしまっては、意味がありませんし、いくら焦げ付きを防ぐためとはいえ、売上を極端に損なってしまえば違う形で会社の存続危機となりかねません。
与信管理のルールは一度決めたら二度と動かしていけないというものでは決してありません。経営環境や経済環境に応じてブラッシュアップをして現状に最も適した形で運用されることが求められます。
| 2. | 格下げにあわせた与信限度の減額に対して取引先に対する交渉(回収期間の短縮・保全・取引額の縮小など)を行っていない。 |
格付けに応じた与信限度額設定を行うと、倒産リスクが高まってきた場合には限度額をオーバーしやすくなります。そうした場合にさまざまな方法でオーバーした状態を回避しなくてはなりません。
回避の方法は主に
ことが挙げられます。
いずれも難しい交渉になることが考えられますが、与信管理を行う上では避けては通れない交渉と言えます。
| 3. | 与信限度額をオーバーしても取引せざるを得ない場合の対策を行っていない。 |
